Hideki Abe

私がまだ自走のノービス選手だった時、申し込めば誰でも参加できる参加者公募型の練習会を始めました。そのお話をしましょう。

関東のジムカーナ界ではJAGE練習会やダンロップ練習会という誰でも参加できる大きな練習会が定期的に開催されていますが、その年、それまで使っていた会場が使えなくなってしまうなどの出来事が重なり、そうした練習会がほとんど開催されないという困った事態となっていました。ベテラン選手の多くは仲間内で練習できる場所を確保していたようですが、まだそういうコネの無い選手は本当に困っていました。

練習したい一心で色々と調べていると、相模湖ピクニックランドが「駐車場をイベントに貸し出します!」とホームページで宣伝しているのを見つけました。もっとも、実績の無い個人がバイクを走らせるイベントをやる、という提案は先方を慎重にさせ、貸してもらえるまでには、何度も交渉を重ねる必要がありました。実際、他の施設で個人はダメだと門前払いされたこともありました。ついに貸してもらえることになった時に先方からイベントの名前を問われ、とっさに回答した名称は「相模湖ジムカーナ練習会」でした。

そして仲間を募る訳ですが、数少ない知り合いは地理的に離れていてダメでした。そこで参加者をネットで公募することにしました。ブログを開設して、JAGE、二輪人、2ちゃんねるなどに紹介記事を投稿したのです。すぐにJAGEスタッフの一人から応援のコメントが届き、大会で告知する場を作ってもらったりもしました。しかし参加者の方は最低催行人数の半分も集まりませんでした。当初、そういう場合は中止にするつもりでいたのですが、今後に向けた実績作りも大事との判断から大赤字での初開催となりました。

私を含めて、自走の選手はパイロンを持っていないので、各自ペットボトル2本を持参して、それで8の字をやろう、と呼びかけていたのですが、開催日の1週間くらい前に、ふと思いついて100円ショップをハシゴしてミニミニパイロンをどっさり買い占めツーリングバッグに詰め込みました。

当日、現地に行ってみると、傾斜がきつく、雨で流れてきた砂が川のように残っていました。ノービス選手だけで作ったコースは、ガンガンアクセルを開けていけるレイアウトにしたつもりが、試走してみるとフルロックでも曲がりきれないようなタイト過ぎるコースであることが判明したり、色々ありました。

やっと実現した練習会。充実感はありましたが、その後もしばらくは赤字が続きました。既に仲間内で内緒の練習会をやっていて私たちをその輪に加えてくれない人たちに対する反発心はありましたが、何しろ赤字なので、そういう人たちから「そちらの練習会に参加したいんだけど…」という話が来た時には快諾しました。この時、怨念を捨てて実利を取る選択をしていなかったら、この練習会は膨大な累積赤字だけを残して消滅していたことでしょう。

それからもさまざまなピンチがありましたが多くの人の応援もあり練習会は何とか軌道に乗りました。思えば開催場所を含めて色々と様変わりしました。私はC1シードとなり、トランポも保有しています。誰が言い始めたのか「あべれん」という呼び方も定着しました。

あの年、JAGE練習会やダンロップ練習会が順調に開催されていたら、あるいは内緒の練習会をやっている人たちの仲間に入れてもらえていたら、自ら練習会を始めることは無かったでしょう。練習会を通じて多くの人と親しくなれましたが、もっと純粋に選手として競技に集中したかったという思いもあり、どちらが幸福だったかは分かりません。

さて、そんなあべれんですが、私が転勤で関東を離れることになったこともあり今は無期限休止中です。また復活するかも知れませんので、その際にはよろしくお願いします。